少し落ち着いた…かな

おととい、とある作品のコンテを終わらせて一息ついている。

そもそもそんなに忙しくないのだけれど、色々あって精神的に疲れていたのと体力も落ちていて予定より仕事を引っ張ってしまった。

ちょっと私へくる仕事的には変わっていて大変な内容だったので、それも時間がかかった原因ではある。

大変といっても、ほとんどの仕事は大変な話数を振られるのでいつものことではあるのだけれど。

私も自分が監督の時はベテランに大変な話を拾ってもらって助けてもらっているので、私のコンテで監督の仕事が少し楽になるのなら幸いである。

ここしばらく、以前付き合いのあった若い(といっても三十半ばくらいだけど)演出家の監督作を恩返しもこめて引き受けていた。

最近は三十半ばになれば(もっと若くても)監督のチャンスが巡ってくるようで良いことだ。

三十代は技術もそれなりに身に着いて体力もそこそこある、のでそこで何か作れるチャンスがあれば良い作品が作れる確率も上がる。

我々が面白い作品に出会う確率も上がるという訳だ。

「君たちはどう生きるか」を見た。

不思議な映画だな、と思った。

わかりやすくもなく、わかりにくくもない。

私は取り上げられてるモチーフとして、少し理解できたのは戦争とペリカンくらいか。

他にも理由があってモチーフが選ばれているのだろうけど、私にはその意味するところは定かでない。

わからないからと言って物語を理解するのに苦労する訳でもないので構わないのだが、それを選んだ理由を知りたくなる様な作品だった。宮崎駿に興味のない人は知りたくもないだろうが、子供の頃から作品に影響を受けてきた身としては気になる。

私的なイメージをあまり説明せず繋いでいる様で、大筋の物語自体は分かりにくいと思わないのだが、分からない・分かりにくい部分が何故そうなっているのか、それが知りたくなる様な作品と感じた。

これが最後の長編だろうと思うから、余計知りたくなったのかもしれない。

高畑勲の遺作「かぐや姫の物語」と「君たちはどう生きるか」は対照的だ。

かぐや姫は、とても分かりやすい。

高畑勲という人は一貫して分かりやすい作品を作っている。

宮崎駿は分かりにくい、ということが作品を重ねるごとに明快になっていった。

最後(かもしれない)映画を作る時、何を作るのかというのは興味深い。

宮崎さんは、まだ頑張りそうな気がしないでもないけど、前作からの時間を考えるとさすがに難しいかな。

とにかく「君たちは…」が無事完成したことを寿ぎたい。

私もこの先どんな仕事が出来るのかな…と毎日考えてしまう。

しばらく暇というのは決定している(笑)

もののがたり第2章

今日は令和5年7月03日、今日の深夜から「もののがたり」の第二章がスタート。

作り終えてからは少し時間が経ったので、やっとという思い。

後半戦は戦闘のシーンが多かったのでスタッフたちは大変だったかと思う。感謝しかない。

二章から登場の爪弾は土井美加さんが演じてくれている。

土井さんの演技は素晴らしく迫力があり、聞いていて楽しかった。

参加してくれていた同世代の演出家は土井さんのファンだったらしくテンション上がっていて面白かったのだが、それもそのはず、我々世代であれば超時空要塞マクロスの早瀬美沙というキャラクターでお馴染みだからだ。

私も当然、心の中ではわくわく。表には出さなかったけど。

他の役者さんたちの芝居も当然素晴らしく音響作業はいつも楽しかった。

お客さんにも楽んでもらえることを願う。

最近は作り終えてから放映という作品も増えたのだが、知り合いの監督が作り終わったら早く見せたい、と言っていてその気分は分かる。

作るのには放映期間の何倍かの時間がかかっているので放映を見ていると、あっという間だなぁと感じてしまうのはアニメ制作者共通の感慨だろう。

花火のように一瞬で消えてしまうのが昔のテレビアニメの醍醐味だったのだが、いつの間にかビデオなどで何度も再生されるようになり、最近は配信などでさらに再生の機会は増えている。

苦労して作った作品の見られる機会が増えることはありがたい。

とはいえ、配信も常にやっているというわけでもないので見られる時に見ていただきたい。