外れスキル<木の実マスター>【2024年10月26日】

1月から放送の「外れスキル木の実マスター」は「おとなりに銀河」の流れで大体同じようなチームで制作。
ファンタジーは各話の演出でも、ほとんど担当した記憶がない。外れスキルものが沢山あることも知らなかった。
お話は私世代なんかは懐かしくなるような王道の冒険ファンタジーで、とっつきやすく楽しく作れた。

原作チームも鷹揚でありがたかった。

制作の旭プロダクションは宮城の白石にスタジオがあって、そこのチームがとても優秀だ。

「魔法少女にあこがれて」の監督も務めた鈴木理人くん、演出の森あおいさん、おとなりに銀河のキャラクターデザイン大滝那佳さん、は白石のチーム出身で皆んな優秀。他の作画チームも優秀でびっくりする。

今回も参加してもらって、感心するばかりだった。これからどんどん活躍するに違いない。

メインキャラはアイカツ!でもう長い付き合いの宮谷里沙。忙しいところを無理に頼んで引き受けてもらった。

アニメ制作本数はスタッフの数に比べるとかなり多いので、どこのスタジオも苦労が多い昨今だが、若い優秀な人たちの仕事を間近で見る機会は楽しい。

若くなければ出来ない仕事はある。アニメ作りは意外と体力勝負なので、なるべく若いうちに良い仕事をする機会に恵まれると良いなと思う。

仕事の愚痴を書こうと思っていたけど、やめた。

2028年あたりの仕事まで決まっているとかいう話も聞くが、隔世の感がある。

果たしてこの先どんな作品がつくられるのだろうか。

暴力とアディクション【2024年10月21日】

最近読んだ本、信田さよ子「暴力とアディクション」
現代思想に書かれた短編の文章をまとめた本。大変面白い。

タイトル通り暴力とアディクション(中毒)が如何に関係しているかというテーマが主に取り上げられているが、そこには深く家族が関わっている。

信田のキャリアはアディクションから出発しているので、どちらかというとアディクションが先にあってそこに暴力がどう関わっているのか、という構図。

この本だけで沢山、物語のネタが出来そうな内容である。

アディクションの代表的なものとしてアルコールがある。
アル中への対処がアメリカで進んだのは、ベトナムからの帰還兵が沢山アル中になり、家庭の中で暴力を振るい、それが問題になったかららしい。
中毒は様々な社会問題と通底している、という具体例が様々示されている。

アルコール中毒に限らず、全ての中毒・依存症は自己治療的である、ということが随所で語られているのだが、これは普通の人間でも多かれ少なかれ思い当たることがあるだろう。

趣味でも仕事でも、のめり込んでいるもの・行為は自己治療的な側面がある。
それがなければ生存が危ういかどうかが依存症かそうで無いかの分水嶺だ。

中毒・依存症は本人にとっては治療的なので止めたくないが、周りが迷惑しているので止めさせたい、という構図が依存症治療の難しさらしい。
そりゃ大変だろう。

貧困、ジェンダー、家族、戦争、ありとあらゆるものが暴力・アディクションと関係していて、これは表立って取り上げるかどうかはともかくとしても、物語を作るとき考えるべき事象だという気はする。

仕事をしながら流し見していたNETFLIXのガンダム(CGのやつ)が面白かった。
ちゃんと戦争ドラマをやろうとしていて好感がもてる。

実際の戦争はもっとえげつないけれど、ライトにでも戦争について考える様な作品を作ろうとする姿勢はファーストガンダムと通じるものがあって好きだ。

一貫してガンダムを恐ろしいものとして描いているのだが、こういう描き方を許容できるのか、というのも少し驚いたし良いことだと思った。

引っ張っていたコンテを終わらせたが、わんこそばの様に次は控えている。
まあまあ出来は気に入っている。
作画がどれくらい頑張れるかはわからんけれど。

細々した仕事を今週は片付けなければいけない。
10月は、あと10日ある。

将棋の竜王戦も3局目が終わってしまった。
佐々木勇気が1勝あげて面白くなってきた。
毎年、竜王戦が始まるともう今年も終わりだなと思う。

来年は試練の年(別に辛いことをやるわけでは無いが)で慣れない仕事をやらねばならぬ。
なので、なるべく終わらせられることは全て今年のうちに終わらせてしまいたい。

しかし、先の仕事はさっぱり決まっておらず…まあこうやって何十年か生きてきたのだから何とかなるだろう、とこういう文章を書いているのも自己治療なんだろう。

そういえば、久しぶりに自分の仕事の告知が出たのを忘れていた。
ファンタジーをやるのは初めてだが、昔の少年漫画のようなノリの原作だし、気分的には楽しかった。
現場色々あって予想以上に大変ではあったのだが、今どき大変で無い現場ほとんどなかろう。

今アニメの制作スケジュールはとても伸びていて、12、3本のシリーズを作るのに丸々1年くらいかかるのは普通になってきている。
なので告知も全然できない。
次はいつになるのやら……。

ストリーボード作成で学ぶ演出(のための準備)【03】・基本的な目的

順番に内容を整理
GPTの整理では、
1. ストーリーボードの基本的な目的を理解する

  • 目的の説明: ストーリーボードは、映像のシーン構成やカメラワーク、キャラクターの動きを視覚的に整理するためのツール。シナリオから映像化の第一歩であり、アニメーターや制作スタッフとの共通言語となるものだと説明します。
  • 具体例の紹介: 完成したアニメーション作品のストーリーボードと映像を比較しながら、どのようにストーリーボードが映像に変わるかを実例で見せます。

アニメーションというか我々が作っている商業アニメーション(この様式に対する明確なネーミングはないのは問題だ)を制作する上でストーリーボードがどの様な役割を担っているのか整理する

  • 実際に制作する映像を視覚的にわかる様に計画する
  • 物語全体の時間の想定または算出。全体の時間をどの様に分割するか、しないかを計画する。
    分割単位は大きくシーンとカットがあるが、シーンはシナリオで既に想定されているので、基本的にはカットの単位で分割を考える
  • 映像内で起こる事象の提示(場所、演技、その他主要な映像に写すことが必要な事象)
  • 事象をどの様に映し出すかの提示(フレーミング、カメラワークの提案)
  • 部分、全体の作業負荷の想定、見通しを立てる
  • 音響についても大まかに想定する場合がある

演技をストーリーボードで想定するのは、日本のアニメの多きな特徴。
実写だったら俳優の演技があるので、演出家が事前に想定する部分は限定的だ。
日本のアニメは作業負荷の想定やキャラクターの統一などの理由から、かなり踏み込んだ部分まで演技が描かれる場合がある。
作業者の負担になる部分でもあり、面白いところでもある。

大まかな項目としたらこんなところか?
ストーリーボード作成の目的自体は初心者にも比較的容易に理解可能だろう。
ただ実際のストーリーボードは、作品や監督などによって「どこまで踏み込んで考えるか」や「重要な要素」が大きく違う。

しかし演技、撮影効果、音響など、何をどこまで想定するのがストーリーボードの役割なのか、初心者にはある程度明確にしておくべきだろう。

あくまで商業アニメ制作に絞って、その役割をもう少し整理してみる

時間の算出
演出家を仕事としている身としては、このことが非常に重要だ。
何故なら、尺が足らなくてもオーバーでも商品としては成立しない。

映画であれば厳密なフォーマットは存在しないものの、90分と120分では、製作費が変わってくるし上映可能回数も変わってくる訳で、適切な尺に収めるのは管理職としての演出家に常に求められる。

しかし、超初心者に教える場合や、演出の概念やストーリーボードの仕組みを教えるだけであれば、あまり教える必要はない。
実際、学生の時はこんなことを言われたことはなかった。
プロになってからは、尺が上手くコントロールできなくて冷や汗をかいたことが何度となくあるのだが…。

とりあえず各項目ごとに、これは初心者に必要か?ということを整理していくしか無いかも。

・演技の想定
これは結構、初心者でなくても難しい項目。
初心者にストーリーボードを教える場合、実は「演技については考えさせない」方がストーリーボードの仕組みはわかりやすいかもしれない。

映像のつながりを想定するだけであれば詳細な演技は必要ない。
ただ画面内のキャラクター(人物)の位置が想定されていれば良いだけである。
実写の様にカメラが移動して構図が変わる場合でも、見かけ上のキャラクターの位置が分かれば繋がるかどうかは判断がつく。
キャラクターが移動する場合でも、同じく画面内の見かけ上のキャラクターの位置が分かれば良い。
芝居を一緒に考えると混乱したり、映像の繋がりについて忘れたりしがちだ。

しかし実際のアニメの現場では、演技の想定が演出家というかストーリーボードを描く人間に強く求められている。
理由としては、
・全体の作業量の想定
・キャラクターの統一
・アニメーターが演技を考えてくれない、あるいはその時間がない
などがある。

これは初心者がストーリーボードを学ぶ際に結構足かかせになっている気がする。

初心者に教える場合は、ストーリーボードで求められる演技について整理しておく必要があるやに思う。

抽象的にも具体的にもなりすぎない様に、ストーリーボード作成の目的を整理しなくてはいけない。

そしてそもそも、誰に教えると想定するのかハッキリさせる必要がある……のだが、超初心、初心、中級者でだいぶ内容が変わってしまう。

今回はここまで。


植物いじり【2024年10月05日】

植物いじりが唯一の楽しみになりつつある今日この頃。
秋は園芸シーズンで花苗などがたくさん出回るのだけれど、植物によっては寒さが苦手なものもあり鑑賞期間がそれほど長くないものもある。
0℃を下回ったとき枯れないかどうかが分水嶺なのか、マイナス何度かまで耐えられるものなら冬越しできるみたいだ。1年草として、枯れるまで鑑賞するという花が沢山あるのだということを最近知った。
とはいえ、1月くらいまでは、そう寒くならないので大体の花は鑑賞できそう。
寒さに強い植物は、逆に暑さに弱くて夏に枯れてしまうものが多いらしい。
特に最近の夏の暑さ(今年はやばかったようだ)は暑さに強いものですら枯れてしまうこともあるという。

大体の花苗は大して高くなくて、無限に買ってしまいそうになるのだが、鉢が意外とお金がかかる。
焼き物などだと大きさにもよるが、そう気やすく買える値段でもない。
しかし全てを地植えできるほど広い庭があるわけでもないので、やはり鉢がメインになってしまう。

そもそも庭木を剪定するのに時期やらなんやら調べているうちに、園芸種の花に綺麗なものが沢山あることを知り、狭い庭でも工夫次第で意外と綺麗に育てたり飾ったりしている人がいることを知り、道を歩いているときに他人様の玄関先の植栽が目に入る様になり、上手な人は本当にオシャレに飾っているのが分かると真似をしたくなって園芸店に行ってみると楽しすぎて完全にハマってしまった。

園芸店はちょっと離れたところにあることが多くて車のない私は徒歩で運ぶしかなく一度にたくさん買えないのが残念なのだが、それでも毎日でも行きたくなってしまってグッと堪えている。
通販でも結構買えるのだが、やはりものを見て選ぶ楽しさは代え難い。

玄関先に死ぬほど鉢が置いてある(が管理しきれていない)家が結構あることに最近気づいたのだけれど、気持ちが非常に良く分かる。

大きな園芸店は大概郊外にあって車が無いととても行けないところが多い。しかし実は都心にも有名な園芸店の支店があったり、探すと意外に自宅の近くにもあったりして驚いた。
暇なら延々と巡りたい。

なんでこんなにハマっているのかよく分からないけれど、とにかく土を触っているだけでも楽しい。割とズボラでもそれなりに育ってくれる植物も沢山あって初心者でも意外にとっつきやすい。

最近気に入ったものはチョコレートコスモスでチョコレートの様な香りを発する。普通の品種は寒さに弱くて冬越ししないらしいが、改良されて頑張れば冬越しできる品種とのこと。冬を越えれば四季咲きとして楽しめるそうな。

冬は屋内に入れておけば大丈夫なのだけれど、寒さに弱い植物を全部中に入れていたらキリがないので、苦渋の選択を迫られるかもしれない…。