全然歩いてない【2023年11月23日】

ブログなぞ、いまさら誰も読まないだろうがまあ良い。

SNSは広告が入ったりで読みにくくて最近ずいぶん見る時間が減ってしまった。

前は中毒気味だったのだが…。

東浩紀「訂正可能性の哲学」読了。

まだあまり理解できていない気はするが、とても考えさせられるテーマ。

おわりに、の「正義なんて本当は存在しない。同じように真理もないし愛もない。自我もないし美もないし自由もないし国家もない。すべてが幻想だ。みなはそれを知っている。にもかかわらず、ほとんどのひとはそれらが存在するかのように行動している。それはなにを意味するのか。人間についての学問というの、究極的にはすべてこの幻想の機能について考える営みだと思う」に共感。

今興味があるのは人間のつくる「境界」これも幻想の話。

国家だジェンダーだと揺れてる境界。

境界無しには人間は何も考えられない。

面白い。

アイキャッチの画像ひと月毎に変えないと見ずらいかなぁ。

最近の読書【09月01日】

辻田真佐憲「戦前の正体」「文部省の研究」

島薗進「教養としての神道」

石田美紀/キム・ジュニアン編著「グローバル・アニメ論」

明治維新で新しく作られた伝統みたいなものを全然わかっていない、ということがよく解った。

明治維新から150年くらいしか経っていないと思うと、変わらない日本人の心性みたいなものもそりゃあるよね。

「教養としての神道」は神道の細かなディティールが少し読みづらいけど、土着の宗教としての神道がどのように生き残ってきたのかというのはとても面白い。

明治維新以前は神仏習合であったことなど全く知らず…。

無教養である。

宗教関係の本も色々読んでみたいものの、沼が深いので少しづつかな。

仏像にも興味が湧き石井亜矢子「仏像解体新書」を買ってみた。これは図版がたくさん載っていて分かりやすく仏像を解説していて面白そう。

山本聡美「九想図をよむ」(増補カラー版)も大変おもしろそうだが、こちらはかなり労作の研究書なので真面目に読むと大分骨が折れそう。九想図というのは、死体の変化を九段階にわけてイメージして自他の肉体への執着を滅却する九想観という仏教の修行に由来する画題だそうな。こちらも図版多数。

「グローバルアニメ論」は論文集。「持永只仁の家族アーカイブから読み解く協力者としての子供観客」ジェーソン・コーディ・ダグラスが非常に面白かった。他の論文もなかなか興味深い。一つ一つは短めの論文なので読みやすいかと思う。

あとは久しぶりに映画館へ。「Berbie」を鑑賞。大味だが面白いと思ったものの興行はアメリカに比べると大分奮っていない様子。そもそも日本でバービーで遊んだと言う人は少ないだろうから仕方ないかもしれない。バービーの小ネタが満載(多分)だが遊んでないとピンとこないかも。日本人にはニュアンスが伝わりづらい諧謔も沢山あるような気がする。しかし新宿の東宝では女性客がかなり入っていて啜り泣く声さえ聞こえた。冒頭の2001年宇宙の旅のパロディーは面白かったがターゲットの客へ響くのか?と言う気はした。私には分からない他の映画のパロディーもあったかもしれない。

重なるものは重なる8月11日

絶対に洗濯したいものがある、という時に限って洗濯機は壊れるは激しく雨が降るは…でなんでかなぁと思わなくはないが世界はそういうもんだよな。

猫たちは仕事をし始めると構え構えと叫び出すが、いざ遊んでやろうと猫じゃらしを持つと寝始めたりする。

今も横で三毛猫が鳴いている。

梅雨があんまりなかったから雨が降るのは歓迎だ。尋常でない暑さを少々和らげてくれた。

買っておいた葡萄を夕食のあと食べる。

食事の後だと一房食べるのは、さすがに重く…しかし全て平らげてしまい、猛烈な眠気に襲われてしまう。

食べるととにかく眠くなるというのは、まあ健康なのだろうか。

胃に血流が集中して脳味噌に回している余裕がないわけだが、血液が仕事を終えると脳も活動の許しを得るわけで変な時間に目が覚めたりすることになる。

お酒を飲んで何かを食べるとしばらくするうちに必ず眠くなるので、よく寝ているところを写真に撮られて見せられる。

まあしかしお酒を飲んで食べるという快楽を半減させるのはしのびないので、食べてしまうし、眠くもなる。

先日、何となく眠れなかったのビールを飲んでいて何となく映画が見たくてAmazonプライムで新藤兼人の「濹東奇譚」を見た。

昭和初期あたりから戦後くらいの話で正面切ってはあまり出てこないが戦争の影を描いていて、今興味のあるところと重なる。

ウクライナの戦争を見ていて何となくウクライナ関係の本を読んだり、辻田真佐憲「戦前の正体」、宮崎駿「君はどう生きるか」とかたまたま戦争について考えることが多かった、夏だからというのもある。

中公新書の「物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国」黒川祐次 著は、独立前のウクライナを知るのにとても良い。

濹東奇譚は、戦前の価値観みたいなものが老いていく荷風に重ねられて荷風が老いを認めて女を諦めていく様がとても良い。

濹東奇譚は売りはエロだったのだろうと思うが、大島渚の愛のコリーダと比べると愛のコリーダの方が圧倒的に華やかだ。

しかし濹東奇譚の方が何とも言えない情感が描かれている。

お雪の女優さん、墨田ユキがとても良い。

老いを描いている作品は若い頃見ても全くピンとこなかったが、今は実感と共に分かる様になった。

老いについてはともかく、戦争については、もうしばらく考えたり調べたりすると思う。

4月の近況

4月1日は「おとなりに銀河」の1、2話先行試写会があり、覗きに行った。

一般の方向けの試写だったので当然お客さんの反応が見たくて行ったのだが席は最前列だったので、あんまり分からず。しかし上映後は拍手をいただいたので、まあ概ね好評価であったと解釈させていただきました。

私の隣には原作者の雨隠ギドさんと旭プロダクションの河内山P。ギドさんとは最終話のアフレコ以来の再会かと思う。

もののがたり、おとなりに銀河と原作ものを監督として担当するのは初めてだったが、快適に仕事をさせてもらった。おとなりに銀河は実写ドラマも同時期の放映となり、比べて見ていると技法の違いや尺のフォーマットの違いで原作のアレンジの仕方が違っているのがとても面白い。

アイカツプラネット!で実写の現場を見せてもらったので違いが分かりやすく感じられて楽しい。

偶然だけれど実写の方にアイカツプラネットでディレクターとして入ってくれていた國領くんが参加していて、そこも楽しみなのです。

まさか同じ原作で仕事しているとはね…とお互いびっくり。

あちらは15分枠で帯なのでアニメの方がゆっくり展開することになる。

最近読んだ本

「会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか」ニック・エンフィールド

これは思っていたより面白かった。

会話は言語だけで成立しているのでは無いうような研究を一般向けに解説したもの。言語学だとあまり大きく扱われてこなかったような分野の研究が最近進んできたらしい。我々は虚構の会話をたくさん作るのだが虚構をそれらしく聞こえるようにするという技術は経験的な感覚に頼ることが多い。

こういう研究を読むと自分達の感覚は、ある程度間違ってなかったという確信が得られるし、創作にある程度客観的な根拠を持って迷わず作れる。

基本的には英語の会話ついての研究が軸なのだが、会話は言語関係ない構造があるという辺りが面白い。

とはいえ、まだまだ研究は始まったばかりという雰囲気なのでこれからに期待したいのと、参考文献をもう少し読んでみたいという気になった。

「語り芸パースペクティブ」玉川奈々福 編著

これはしばらく前に出た本なのだけれど、とても面白かった。

日本には様々な語り芸が有るのだけれど、その分野の重鎮たちを呼んで実演とその芸について語ってもらった講演記録。

講談だ落語だ文楽だ歌舞伎だと私もほとんどまともに見ていないのだが、自分のやっていることも語り芸の一種と言える気がするし日本の伝統の影響は無意識の中に必ずあると思う。

自分のやっていることのルーツを探りたいというような事で伝統芸能、特に語り芸には今大変興味がある。

この本は芸能のつながりの一端を垣間見せてくれてとても良い。

今更だが古典を勉強してみようと思わされる一冊だった。