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  • しばらくはゆるりと

    しばらくはゆるりと

    ゆるりと仕事再開。

    しばらくは絵コンテマンとして活動することになりそう。

    全く知らない監督の仕事はあまり来ないものではあるのだが、自分ではない人にコンテを提供するときはどういうスタイルがいいのかなという探りを入れたりしてなるべく監督のスタイルに合う様に考える。

    とはいえ、他人と同じものは絶対に描けない。

    絵コンテだけの仕事を請け負う様になってずいぶん経つけれど、真似しずらい理解しずらい微妙な表現はオーソドックスに作る様にしている。

    絵コンテにオーソドックスも何もあるのか、と言う向きもあるかもしれないが有る。

    キャラクターの捉え方(人物造形)お話の捉え方が極端に間違っていなければ、あとは基本的な映像文法を守ったあげるだけで監督は絵コンテの修正が圧倒的に楽になる、と経験的には思う。

    キャラクターとかお話の理解を除くと、技術的な違いが大きく出る部分は3つある。

    一つはイマジナリーラインの作り方。

    一つはカメラの高さ。

    一つは話題の対象を写すかどうか。

    一番面白いなあと思うのは、話題の対象を写すかどうか、のところだと思う。

    話題の対象とは何かというと、例えば何か会話をしている人物が二人いたとして、そのうちのしゃべっている人を写すかどうかみたいな事だ。

    そんなの普通しゃべっている人がいたら、その人を写すでしょと思うかもしれないが意外とそうでもない。

    しゃべっている人の話を聞いている相手はどんな顔をして聞いているのか、という事が重要な場合はその表情を写すということがあるが、この場合は一般的な話題の対象を写しているという認識で良いと思う。

    例えば、長いしゃべりの時に窓を写すみたいな演出はアニメでは非常に良くあるのだが、私はこれは話題の対象を写さない演出に分類する。

    これが悪いというわけではないのだが、外す必要がないのに外している場合や、外してはいけないのに外してくる人もいて、さて何故だろうかと考える事が時々ある。

    話し手の表情を想像させる、セリフに集中させる、それぞれに色々理由があってやっていることだろうと思うのだけれど憧れた作品からの影響というのも強くあるのじゃないか。

    エヴァ以降といって良いかと思うのだけれど、深夜アニメなどで対象との向き合いが少し変わっている様な変わった演出が流行っていたと思う。

    その影響を強く受けている人は結構いて、その事に自覚的ではない人もおり、自覚的でないと作品によっては全然合わない場合がある。

    最近の主流は割とオーソドックスなスタイルに戻っているという印象を私は持っていてオーソドックスはやはり出来た方が良いと思う。

    オーソドックスなものは見飽きてつまらないみたいな時代は終わってしまってオーソドックスなものしか見られないような時代になってしまった気もして、それはそれでどうなのよと思うけど伝統の中で育まれた王道なスタイル、方法論はやっぱり重要。

    大作映画も基本的にはオーソドックなスタイルに則って造られている様に見受けられる。

    まあしかしオーソドックスが体系的に教えられている場所、というのが今はハッキリと存在していないと思うので伝統が教えられる場所があるといいね。

    ハッキリ教えられてないのに、やっぱり存在する伝統問いのも凄いもんだと思うが。

  • 4月の近況

    4月の近況

    4月1日は「おとなりに銀河」の1、2話先行試写会があり、覗きに行った。

    一般の方向けの試写だったので当然お客さんの反応が見たくて行ったのだが席は最前列だったので、あんまり分からず。しかし上映後は拍手をいただいたので、まあ概ね好評価であったと解釈させていただきました。

    私の隣には原作者の雨隠ギドさんと旭プロダクションの河内山P。ギドさんとは最終話のアフレコ以来の再会かと思う。

    もののがたり、おとなりに銀河と原作ものを監督として担当するのは初めてだったが、快適に仕事をさせてもらった。おとなりに銀河は実写ドラマも同時期の放映となり、比べて見ていると技法の違いや尺のフォーマットの違いで原作のアレンジの仕方が違っているのがとても面白い。

    アイカツプラネット!で実写の現場を見せてもらったので違いが分かりやすく感じられて楽しい。

    偶然だけれど実写の方にアイカツプラネットでディレクターとして入ってくれていた國領くんが参加していて、そこも楽しみなのです。

    まさか同じ原作で仕事しているとはね…とお互いびっくり。

    あちらは15分枠で帯なのでアニメの方がゆっくり展開することになる。

    最近読んだ本

    「会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか」ニック・エンフィールド

    これは思っていたより面白かった。

    会話は言語だけで成立しているのでは無いうような研究を一般向けに解説したもの。言語学だとあまり大きく扱われてこなかったような分野の研究が最近進んできたらしい。我々は虚構の会話をたくさん作るのだが虚構をそれらしく聞こえるようにするという技術は経験的な感覚に頼ることが多い。

    こういう研究を読むと自分達の感覚は、ある程度間違ってなかったという確信が得られるし、創作にある程度客観的な根拠を持って迷わず作れる。

    基本的には英語の会話ついての研究が軸なのだが、会話は言語関係ない構造があるという辺りが面白い。

    とはいえ、まだまだ研究は始まったばかりという雰囲気なのでこれからに期待したいのと、参考文献をもう少し読んでみたいという気になった。

    「語り芸パースペクティブ」玉川奈々福 編著

    これはしばらく前に出た本なのだけれど、とても面白かった。

    日本には様々な語り芸が有るのだけれど、その分野の重鎮たちを呼んで実演とその芸について語ってもらった講演記録。

    講談だ落語だ文楽だ歌舞伎だと私もほとんどまともに見ていないのだが、自分のやっていることも語り芸の一種と言える気がするし日本の伝統の影響は無意識の中に必ずあると思う。

    自分のやっていることのルーツを探りたいというような事で伝統芸能、特に語り芸には今大変興味がある。

    この本は芸能のつながりの一端を垣間見せてくれてとても良い。

    今更だが古典を勉強してみようと思わされる一冊だった。

  • 一息ついた

    一息ついた

    去年からの仕事は大体片付いて、突発の仕事もまあ落ち着き、TAAFの長編のコンペの審査が終わって目の前の仕事はほぼ終了。

    TAAFこと東京アニメーションアワードフェスティバルは、何で私なんかが審査委員に選ばれたのだろうという気はするが、あまりイベント的な場所に呼ばれることもないのと海外の審査員と数日一緒に過ごしたのが新鮮で楽しくやれた。どうにも自分の英語力の無さにはがっかりしたのだが、通訳の方が基本的には同行していたのでコミュニケーションは、それほど不自由しなかった。

    それにしても、コンペに来ていた海外の審査員や作家は(私から見ると)流暢に英語を話す人が多い。母国は違っても英語でコミュニケーションしていて感心。

    作品は長編は4本ノミネートされていて、さすがにどれもそれなりのクオリティだったが、個人的にはティティナという2Dの作品が一番気に入った。北極が舞台になったいるのが、以前TAAFで賞を取ったノース・ウェイ・ロングと同じなのだが、それは監督の話を聞くとただの偶然みたいだ。ノルウェーでも探検家アムンゼンとイタリアの飛行船技師ノビレの逸話はあまり知られていないらしく、面白いと思ったので取り上げたというようなことらしい。

    基本的には実話に基づいていて、当時撮影された記録映像も交えて作られている。

    ミュージカル的な表現も交えて非常に楽しく見られる様になっている。特に前半は。後半の展開もどこまで史実に忠実なのか分からないが非常に劇的。戦争の足音が近くに感じられる時代の話なので今見ると非常に考えさせられるものがあると思う。

    グランプリを獲った「犬とイタリア人お断り(No Dogs or Italians Allowed)」も戦争の時代をモチーフにしていて、こちらも事実に基づいたストーリーで現代的なテーマを抱えていると言える。こちらは人形を使ったストップモーションアニメ。ユーモアが効いていてシリアスの話だが楽しく見られると思う。

    審査は特に揉めるという感じでもなかったのだが、グランプリはあっさりと全員一致で決まり、もう一本が票が割れてなかなか決まらなかった。

    クオリティーに決定的な差がないと、選ぶのはなかなか難しいもんだ。

    結局、短編部門の作品は全然見られてないので、機会があったら見たい。

    1、2月は立て込んでいたので、休んでいたJAniCAの配信も久しぶりに出来た。

    「演出について」というお題で、新人演出に演出について説明する様な体で話した。分かりやすい解説という意味では、まだ大分改善の余地がありそう。話題の順番やら細かな例の使い方とか、参考資料とか。

    参考資料は自分じゃ適当に色んなものの断片を繋げて使っているのだが、人に教える時は、具体的に参考になる資料を探しておく必要がある。でないと永遠に解説が終わらないし根拠ないことを話していると思われても困るので。

    しかし、資料を当たるのは目星はあるものの結構時間がかかるので、少しづつやるしかない。

    自分の仕事は、放映中の「もののがたり」は来週最終回、4月からは「おとなりに銀河」が始まる。

    両作品とも制作は終わってるので、のんびり放映を見るだけ。

    しばらくは映画見に行ったり、本読んだり好きなことに時間を割けそう。

    事務的なこともこなさないといけないのではあるが………。

  • 今日でほんとにラスト

    今日でほんとにラスト

    1月20日から上映されてきたアイカツ!の映画も今日で上映がラストだそうで、たくさんの人に見ていただいてありがたい限りです。

    10周年のお祝い楽しかった。

    10年前のことって、結構忘れかけている。なかなかもう振り返る機会もないので私が関わった当時の特に立ち上げの頃の事を思い出してみよう。

    といっても、ほとんどはどこかで記事になってる様な事だと思うけど。

    怒られたら消すかも(笑)

    アイカツ!話が私のところへ来たのは、別な作品「夏色キセキ」の作業をしている途中だった。多分2012の年明けとか結構ギリギリなタイミングだった様に思う。夏色キセキが春番だったので後半戦を作っている頃だったのでは無いだろうか。

    サンライズ(当時)との付き合いも、それまで全くなかったので私に任せるの不安じゃないの?と思ったが夏色キセキも一応アイドルネタだったし向いてると思ってくれたのかな?

    夏色キセキといえば寿美菜子嬢とは、その時に初めてまともに話した様に思うし芝居が非常に印象に残った。私にとっては、とても大事な役者さんとの出会いだった。

    シナリオ会議が始まったのは3月か4月、途中色々あって止まったりもしていたので作業は非常に遅れていた。

    夏色キセキに入っていた京極尚彦くんの監督作(ラブライブ)が動いているのを知っていたので、いつ放映?と彼に聞いてアイカツ!より先に動いてたのに放映は後だったのを羨ましく思ったのを覚えている。(アイカツ!は10月、ラブライブは翌年1月)

    私と加藤陽一は初めて組む、しかもお互いそれほど上(監督・シリーズ構成)に立った経験が無い状態だったので初めはかなり手探りだったと思う。

    サンライズPの若鍋さん1年目の制作チームのテレコムのP、テレビ東京の奈良さん、バンダイチームの人たちみたいな偉い人が沢山いて私がそれまで見てきた中では割と大所帯の会議だったので、色々言われたら嫌だなあ…などと思っていたがバンダイさんから難しい注文をされることは殆どなく、むしろシナリオで出てきた面白いアイデアをとにかくゲームにも反映させるぞ(時間もないのに)みたいなノリノリの雰囲気だったのでやりやすかった。

    もちろん大変なことも沢山合ったのだが…まあ今となっては笑える。

    とにかく止まったら落ちる(放映が)みたいな状況だったのであらゆる事が全力疾走だった。

    そして結局、3年半終わるまで走りっぱなしだった。

    もう今は無理だ(笑)

    ゲームチームの方もアニメと状況は変わらず、待ったなし。

    ドレスデザイン、カードデザイン、音楽制作、ゲームも制作は大変。

    しかしアニメとゲームの進行がほとんど追っかけっこしていたおかげで、シナリオとのシンクロ率は高められたと思う。

    フェブリスメーターと私が勝手に名前をつけた勝敗のポイントを表すバーが表示されるメーターやアバターのラフデザインは私が作ったのだが、時間がないけどアニメとゲームでデザインを合わせたいと言われてデザイナーもいなかったので私が起こした様に記憶している。ゲームチームはなるべくアニメのアイデアを拾おうとしてくれていたし、アニメの方でもなるべくゲームの面白い要素がフォローできる様にしてくれていた。

    お互いに時間がない中でアイデアを投げ合っていたので全部とはいかなかったが、まあ良くやっていたと思う。

    並走する彼らと顔を見合わせ、お互い大変だねと笑って話していた。

    役者さんのオーディションと歌い手さんの選定はほぼ同時進行で動いていた様に思う。

    今考えると少し時期をズラしても良かったのでは?と思うけど、春くらい?の段階で初期メインキャラ8人

    全員の役者と歌い手を一気に決めた。

    確か3DSのゲームで全員の声を入れたいからみたいな理由だったかもしれない(かなりうろ覚え)

    いや、ミシェルとかも決めたからキャラの役者は10人近く一気に決めた気がする。

    こんなに一気に決めることもなかなか無いのでは無いだろうか。

    キャストの選考を決める日は私の誕生日(6月10日)だった様に記憶しているので、オーディションはその少し前にやったのではなかろうか。決めてすぐゲームボイスの収録が始まった様に思う。

    当時アイカツ!あるあるであったのだが、ゲームの開発が先行しているのでシナリオにも出てきていないキャラの声をゲームに収録しなければいけない事がしばしばあった。

    なのでゲーム音声の収録には私も殆ど立ち会っていた。ゲームボイスのセリフの監修も私と加藤氏が目を通していたのでなかなかハードだった。

    しかし、ユリカは確か後でセリフを少々修正してボイスを録り直している筈である。

    シナリオが出来てなかったので当時は吸血鬼キャラという設定がなかったのだ。(沼倉さんすいませんでした)

    最初のゲームボイスの収録の時は他のキャラも大体こんな感じで見たいなざっくりしたイメージで作ってもらったと思う。

    テレビのアフレコが始まったのは、多分8月くらいとかからじゃなかろうか。(だいぶうろ覚え)

    音楽周りの初期は曲の発注などは私も参加したと思うが歌の収録などは水島氏と音楽チームにほとんど任せきりだった。キャラに関しては簡単なメモを書いて歌い手さんたちに渡していた程度。

    アフレコもしていないので歌い手の皆んなはかなり手探りだったに違いない。

    ロゴの制作などもシナリオと同時並行で進めていた。

    最初はコンペでは無く幾つか案が有ったのだが、思うところがあり無理を言って知り合いのデザイナーさんに声をかけコンペにして貰った。

    その中で採用されたのが内古閑さんのデザイン。

    私はコンペで上がってきた候補の中からプロデューサーたちが、ある程度選別したものをどれが誰のデザインということは聞かずに決めた。

    パッ見た時は誰のデザインか判らなかったけどコンセプトの昇華の仕方がとても素晴らしくシンプルにゲームの内容や作品の楽しげな雰囲気を表現してくれていたので選んだところ、内古閑さんのデザインと聞いて流石だなーと思ったのを覚えている。

    キャラクターの設定も一応コンペだったのだが、人が見つからず…というのと水島氏の紹介してくれた、やぐちひろこ嬢が圧倒的に良かったのですんなり決まった。

    アニメのデザイナーも当然一人では全部こなせないので、夏色キセキでメキメキと頭角を現した当時は新人原画マンだった渡部里美ちゃんとダメもとで電話したら引き受けてくれた石川佳代子嬢が参加してくれることになる。

    石川さんと私、内古閑さんも初めて顔を合わせたのはガイナックスで水島氏が監督で制作した「はなまる幼稚園」という作品だった。

    里美ちゃんは初期キャラクターの衣装替えのほとんど、石川さんはメイン以外の学園生徒やアイカツフォンなどプロップと呼ばれる小道具、宝石箱の様なフィッティングルームも考えてくれた。

    サンライズ側にいた最初期のメインスタッフは、木村、やぐち、石川、渡部。後は設定制作をやっていた今ではプリキュアのプロデューサーである田中昂くらいであった。

    メインで制作を請け負ってくれたのはテレコムアニメーションフィルムという、あの宮崎駿も在籍していた老舗スタジオである。

    テレコムのスタッフだったのが、その後長くアイカツシリーズに関わることになる色彩設計の大塚眞純嬢。当時ほぼ初めての設計業務だったと思う。

    そして美術監督の大貫雄司、撮影監督の宮川淳子嬢。編集の笠原義宏さんなど。

    他にも沢山絵コンテを描いてくれた矢野雄一郎さん、沢山演出をやってくれた小山田桂子さんなどがテレコムのスタッフだった。

    キャラクターにしても美術にしてもアイカツ!は設定の量が多かった様に思う…すいません。

    毎話ごとに違う場所出てきたり変装やらドラマで衣装を変えたり。

    設定に関わるの渡部さん、石川さん、大塚さん、大貫くんはとても大変だったろうと思う。

    設定というのはシナリオがある程度完成しないと作り始められないのでシナリオが遅れていたアイカツ!は設定もギリギリで追いかけっこをしていた。

    設定の発注はメインキャラクターは基本的に原案があったので原案に沿って発注。

    色も頭部はゲームチームの作った原案に沿っていた。

    原案と言えばエンディングにもクレジットされている川村歩さんが主にキャラクターのデザインをまとめていらっしゃったのだと思う。他の人のアイデアも当然入っていたと思うが主には川村さんがまとめていたと聞いていた。

    立ち上げは時間がなかったこともありゲームチーム側で先行してデザイン案が描かれていたのだと思う。私が入った頃にはキャラのデザイン案はメイン8人全て存在していた。髪型は子供への調査なども受けて変更があったキャラがいたと思う。ユリカとか。

    サブキャラはオリジナル、服装も制服以外はオリジナルなので自由に制作していた。

    服装は私は極力意見を言わない様にしていた。渡部さんにしても石川さんにしても服は好きな人だったので、おじさんが余計な口出しはなるべくしない様に気をつけていた。

    シナリオに関わる説明などがあれば伝えるくらい。

    色に関しても同様で相談されれば応えるが、女の子のセンスが必要なものに関しては基本的にはお任せで通したいと思っていた。ていうか今だにそう。おじさんが口出しても碌なことがない。

    基本的には私はまとめ役に徹して、女性の意見が反映される様にしていたつもり。

    立ち上げの頃アイカツ!に関わっていた女性スタッフや役者さんに子供の頃見て印象に残っている女のむけアニメはあるか良く聞いていたが、ほとんどの人が佐藤順一さんの作品を上げていた。セーラームーン、おジャ魔女、ふたご姫…など。

    私は一番最初のセーラームーンのノリが好きだったので、あの雰囲気を再現できないだろうかと目論んでいた。

    美術もセーラームーンや小林プロダクションが女の子向けの作品で作っていた様な雰囲気を意識していた。美術監督の大貫くんは、私が参加していた「はなまる幼稚園」の雰囲気を参考にしたと話していた気がする。

    美術デザインはちょっと西洋風というか少し洒落た和洋折衷のイメージでみたいなお願いをしていた様に思う。

    スターライト学園のデザインは何かイメージの参考みたいなものを大貫くんが挙げてくれていた気はするが、覚えていない。なんでも弁当の辺りの街並みは横浜の元町辺りの洒落た雰囲気みたいなお願いをした気がする。

    初期の頃は結構お仕事的にというか、あまりやる気なく参加してくるスタッフも少なくは無かった。あまりにスケジュールが悪かったので、それも当然と言えるのだが。そんな中、撮影監督の宮川さんにのやる気にはすごく励まされた。フェブリスアンテナ(この名称も作中では使わなかったかも…)という観客が頭につけるアンテナから出る星やシーンの変わり目に入るワイプは彼女が作ってくれた。ワイプは石川佳代子さんにタタキのアイデアを出して貰って宮川さんが起こしてくれた様に記憶している。

    宮川さん、石川さんといえばカレンダーガールのレコードの回る速度はテレビ局の注文もあってかなり直しを重ねた。最初はかなり早く感じたので仕方なく数枚の絵を不採用にして決定された。

    最近イベント上映の時に話したけどカレンダーガールのエンディングで回っているレコードを未来のいちごが止めて終わるというアイデアを私は考えていたのだが、絵コンテから丸々石川さんに頼むことになって、その時アイデアは不採用になった。この未来のいちごのアイデアがSTARWAYの映画に繋がっている。

    CGはサムライピクチャーズさんがテレコムの紹介で担当してくれることになった。時間がないのに前向きに色々相談に乗ってくれたのを憶えている。

    キャラのモデルは時間が無かったこともあり、あまり手が入れられないというような話だった気がするが結局色々あって修正されていったのはみなさんご存知かと思う。

    カメラワークも最初はゲームで付けたものを軸にアレンジしていく様な方向性だったが、後にディレクターの北田さんの参加で大きく変わっていくことになる。

    1話でのフィッティングルームで天井に光が映ったりするのは地味に部屋全体を3Dで組んで作って丸い天井への光の反射を作っている。

    アイカツ!の頃は昼間は、ほとんど打ち合わせで夜にデスクワークだった。アニメの監督は皆んな大体あまり変わらないと思うけど絵コンテ描いたり直したりは夜中の作業になってしまうことが多い。

    なので朝方とかに制作が私が描いたり直したコンテを回収にくるのだが、アイカツ!は人が少なかったこともあり、このままでは私も制作も疲弊してしまうと思い当時は出て間もなかったCLIP SUTUDIO PAINTで絵コンテの直しをやるという方法に1クール終わる頃には切り替えたんじゃないかと思う。

    データでのやりとりで済むので、非常に楽になった。

    1話は手描きのコンテで完成したのは6月の頭とかだった気がする。ヤバい……。

    2話は矢野さんがコンテを描いてくれて以降、矢野さんのコンテには沢山助けられた。

    矢野さんは宮崎駿の薫陶を受けた世代の方で姿はオジサンだが心は乙女の優しい方。絵は当然上手いが滅法手も早く2週間で1本くらいのペースで絵コンテを描かれていた様に思う。

    私なぞ遅くて遅くて、結局1話のコンテを描いて以降、次にテレビのコンテを描いたのは177,178話になってしまう。

    Signalize!のオープニングは夏色キセキの作画チームが担当してくれた。

    あの時はCGが間に合わなくてダンスシーンも作画で作っている。原画は確か長田伸二。

    いちごが着替えつつ色が変わるカットは渡部里美ちゃんが原画を描いて変わった色にして!みたいな注文で大塚さんに自由に色を決めて貰ったという記憶がある。

    最初のいちごが振り向くあたりは岩崎茂希くんが担当、ジョニーのあたりは盟友の安彦英二が描いてくれた気がする。

    作曲のNARASAKIさんは「はなまる幼稚園」でご一緒していて水島氏が繋いでくれて快く引き受けていただいたという流れだったと思う。

    音楽といえばMONACAチーム。

    私が入った時すでに何曲かはゲーム用のデモが存在していた。

    ゲームに最小された順はアニメの方との兼ね合いやらラインナップのバランスやらで最初にできた順から搭載されていたわけではない。

    劇伴の打ち合わせは帆足くんと石濱くんの二人で来てくれた気がする。石濱くんは大変なシャイボーイで当時はあまり話してくれなかった様に思う。沢山話す様になったのは劇場版アイカツの後あたりかなぁ。帆足くんはいつも気さく。絵コンテを簡単に編集してフィッティングシーンのガイドを作って帆足くんに曲を作って貰った様に記憶している。

    音響監督の菊田さんは、やはり夏色キセキからの流れで他の候補もいたと思うが私の希望や現場のテレコムさんも懇意だったこともあり決まったように思う。

    菊田さんはラブ&ベリーのゲームの収録も担当していたそうだ。

    アイカツ!のキャストには新人も多かったため当時は私はよく分かってなかったが個別指導をしてくれていたり丁寧に面倒を見て貰って、私自身も沢山勉強させて貰った。

    1話に色がついて完成した時、菊田さんが皆んなで見ようと言ってアフレコブースで映像を流して見た気がする。アフレコの時はいつもコンテ撮といって絵コンテを撮影して芝居が何となくわかる様な状態でしか収録できていなかったので完成形を共有するのは必要があるということだったと思う。

    うーーん、新人さんが多い現場で、あの状態のアフレコは本当に申し訳なかったなと今更ながらに反省。といっても当時はどうしようもなかったのだが…。

    1話も確かコンテ撮でアフレコしていると思う。

    さてさて、長くなってしまった。何とか1話が出来上がって、その後3年半アイカツ!は続く事になるのだが途中に映画も作ったりで、ずっと全力で走っている様な状態で当時は振り返る余裕もなかったし止まったら死ぬみたいな勢いで、ヒットしている状況も考えると怖くなってしまうから途中からはあまり気にしない様にしていた。

    とにかくドタバタと始まって、放映できたのが奇跡くらいの状態だったので、その後、形を変えて10年もプロジェクトが続くとは、流石に思いもよらなかった。

    2年は続く様にしたいなあ、というのが密かな目標であったが、それも1年やって続く様なら若い人にバトンタッチしようくらいの心持ちだった。私みたいなオジサンがやるよりは若い人の方が適任だとずっと思っていた。1年、また1年と伸びて3年半。今考えればそう長い期間でもない気もするものの、当時は倒れずに走り続けるので精一杯という思いもあった。でも、なんやかんやとこうして長く関わらせて貰えたの事には感謝している。

    特に今回の映画は手がけられて良かった。

    最後にもう一度、見ていただいて本当にありがとう。

    また気が向いたら昔話を書くかもしれない。

    取り留めない話にお付き合いいただき感謝。

  • やっと2022年が収まってきたかなぁ

    やっと2022年が収まってきたかなぁ

    年明けから始まったアイカツ!10th STORYの上映も終盤戦に差し掛かっている。

    沢山の方が観てくれて感謝しかない。

    なかでも子供の頃に見てくれていた女の子たちが見にきてくれたのは非常に嬉しい。

    高校生や大学生になった当時の視聴者に響く様な作品にしようという主旨で作られた作品なので、まさに見てほしい人が見てくれたということだ。

    昔のスタッフが見てくれて感想を直接くれたりSNSに書き込んでくれたのもありがたかった。

    ずっと準備をしてきたスタッフの苦労も報われたんじゃないかと思う。

    ミュージックフェスタも最後は滑り込みで声出し可能になってファンの皆んなも喜んでくれたいた様だし、我々も楽しかった。

    やはりファンの笑顔は我々の苦労を存分に癒してくれる。

    10年越しの新作で後日談を描くというのは、見たくないという人もいたのではなかろうか。

    何を描くか、ということについては殆ど私と加藤さんに任されたのであるが、私の方では具体的なアイデアはなく、ただ当時7〜9歳だったアイカツ!の視聴者として想定されていた、そして視聴率などみるに実際に見ていてくれていたであろう女の子たちの背中を押せる様な作品にしようという事だけは皆一致していた。

    かくして、インタビューやら舞台挨拶やらで話した様に卒業と大人になるということがテーマになった。

    後日談の中身はともかく当時見ていた若い人たちに響いてくれるといいなということだけ考えていた。

    響くも何も、当時の子供たちが見にきてくれるのかな?という心配もあったが、それも十分に裏切られた。

    私は大人について偉そうに語れる様な人間ではないけど、大人になるのは大変だが楽しい事だと思う。概ねは。

    鍋をつついて酒を飲むのもまた大人ならではの楽しみ…酒なんか飲めなくても楽しいことは色々あるね。

    これが大人なのである、などという形はないのだし、それを良くも悪くも自分で決められるのが大人になるということなのだから。

    とにかく大人になるのも悪くないね、と若い人たちが思ってくれたら嬉しい。

    歳をとるのも良いもんです。

    そして繰り返しになるけど、私が思っていたよりずっと沢山の方に映画を観て貰えて本当に嬉しい。

    去年はテレビシリーズ2本にアイカツ!の映画が動いていたため、べらぼうに忙しかった。

    年が明けても舞台挨拶だとか映画にまつわるイベントと小さな仕事なんかで、なかなか落ち着かなかったがやっと一息つけそう。

    つい先日は同期の演出家の作品の仕事を終わらせた。何とは言えないけど、制作は発表になってる作品だからしばらくしたら観られるのかな?いや、最近は放送まで時間がかかるので、まだ結構先なのかも。

    まあ、今年は誰かの手伝いでのんびりと過ごすことになりそう。

    作品を作っていると色んな方のお世話になるのだが、なかなか恩返しの機会もないので返せる時には返したい。

    しかしタイミングがなかなか合わず、最近は不義理ばかり。

    借りたら返すがアニメ業界の仕事人の渡世というものだったのだが、借りるも返すも難しい時代になってしまった。

    借りずに済めば良いのだが借りたくても借りられぬ人手不足。

    発表されてなくても水面下で動いてる作品が沢山あるので、さもありなん。

    さて、今年私はは人に手を貸せそうな気はするものの、なるべく楽しい作品に手を貸したい。

    仕事との出会いは偶然なので、面白そうな仕事に出会えることを祈るばかりだ。

    のんびり温泉に浸かったり、本読んだり、映画見たり、音楽聴いたり、やりたいことは色々あるので仕事はほどほどに…てな訳にはなかなかいかないか。

    大人は大変……あら?

  • 10年…だって

    10年…だって

    2023年1月20日、今週の金曜から映画『アイカツ!10th Story 〜未来へのSTAR WAY〜』(タイトル間違っとるかもしれん)が公開になる。
    先日、初号試写というやつをやった。
    初号ってなんだよ、っという御仁に少し説明するとひと昔前まで映画は合成樹脂の透明なフィルムに映像を焼き付けて後ろから光を当ててスクリーンに映写していたのだ。
    テストで焼いたフィルムを0号といって、調整を経てお客さんに見せられる状態で焼かれたフィルムを「初号フィルム」と言っていたのである。
    フィルムを焼く、という表現も若い人には甚だ分かりにくいと思うが割愛。
    今はDCPというデータで上映されているので、お客さんに見せられる状態のDCPの映像を初めてスクリーンで関係者が見る事を初号試写と呼んでいる。

    出来上がった作品は何度か見ているので、さすがに落ち着いて見られたのだが、集まった関係者の懐かしい顔を見ていてグッと込み上げるものがあった。
    放映開始から10年経ってるので、立ち上げからアイカツ!のプロジェクトに関わっていた人は殆どいない。
    私もアニメの企画が始動を始めてから入ったので、本当の立ち上げから関わってるのは加藤陽一くん位かもしれない。
    とはいえ私もほぼ立ち上げメンバーで、アニメの現場で立ち上げに関わっていた人は今アイカツチームには私以外いない。
    試写では、そんな立ち上げ当時のメンバーが結構集まってくれた。
    作品に直接関わってくれている人ももちろんいるが、もう離れている人ともちらほら来てくれていて、とても嬉しかった。

    MONACAの作曲家・帆足くんとは何年ぶりかで会えて思わずハグしてしまった。
    アイカツ!的、作詞家・御三家の辻さん只野さん、こだまさんも来てくれていた。
    只野さんは、試写の後ずいぶん長い事ロビーに残って話し込んでいて帰りもご一緒してしばらく話し込んだ。
    只野さんは20年近く続いているプリキュアにアイカツ!より長く関わっているので、色々話して励みになった。

    関係者は、監督にとっては最も先に反応してくれる観客だ。
    意外と関係者の反応はビビットなので、見せる前はドキドキする。
    試写の後の皆んなの反応を見て少し安心できた。
    これで観客・ファンに見せられる、と思えるようにはなったのだが、まだ怖い気もする。
    作品は終わって仕舞えば完全に観客のものだ。
    観客の心の中に残っているものが全てだ。
    アイカツが終わったときは娘を送り出した様な気分になったのを憶えている。
    今回の作品は、一旦、観客の手に渡したものをまた返して貰って作った様なものなので非常に緊張している。
    ただただ楽しんでくれる事を願うばかりだ。

    今回の映画は完全に昔見てくれていた人に振り切って作っている。
    当時、アイカツ!がメインターゲットととして想定していたのは7〜9歳の女の子。今、高校卒業したかしないか位の年齢の人たちだが、その世代の人たちに向けて作った。
    なので卒業をテーマとして取り上げてある。
    10年経つと当時ファンだった子がスタッフとして働いていたり、演者として関わっていたりもする。
    私もアイカツ!に関われた事で色々な経験をさせて貰った。
    今度の映画はそういう色々への感謝の気持ちも込めたつもりだ。
    いや…大仰な内容ではないのだけれど、むしろこんな話で大丈夫なのか?といまだに心配だけれど、オールドファンは楽しんでくれるのではないかと思っている。

    なにはともあれ、もうすぐ公開である。
    この映画をきっかけに、しばらくの間ファンも関係者もアイカツ!10周年を楽しんでくれたら、こんなに嬉しいことはない。

  • アイカツ!10th Story

    アイカツ!10th Story

    2023年1月20日より『アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~』が上映開始。皆様に10年分の感謝を込めて。

  • バスケはよく知らないが…

    バスケはよく知らないが…

    近所の映画館でスラムダンクがやっていたので見に行った。
    田舎の映画館なので余裕で観られるだろうとたかを括ってギリギリに行ったら、ほぼ満席で危うく入れないところだった。
    あんなに人が入っているのは滅多に観ないのだが……。
    客層も特に原作を読んでいた人ばかりという雰囲気でもなく、老若男女偏りなくいてヒット映画の典型といった風情だ。
    私も原作はほとんど知らず、連載のはじまった頃に少し読んでいたのでキャラクターの名前は多少判別がつくくらいの知識しかもっていない。
    私なんぞが言うまでもなく面白い映画だったが、作りが変わっていたのでメモ的に記録しておく。

    ネタバレ的なことも書くので読みたくない人は気をつけてください。

     

    さて、冒頭は……なんせ地味だなと思う。
    絵は素晴らしいものの華のある画面というわけではなく、あの二人が1オン1
    をしているというだけで、原作知っている人であればエモいのかもしれないが、まずあの二人の関係が直ぐには分からない。
    ポンとワンカット入る手洗い場の上に置かれたリストバンドの画が全編通して重要なアイテムになっているのだが、それも大して長く見せるわけでもなくサラッと映している。
    直ぐにはわからない、というのはこの映画の特徴で監督の趣味でもあろうと思われ、とても良い効果を発揮している。
    ここでリョータの名前は呼ばれるが、この映画の中で人物の名前が説明的に呼ばれることはない。
    説明的に呼ばれることはない、というのはとてつもなく重要。
    これも直ぐに分からなくても良い、という監督の明確な態度を示している。
    普通、娯楽映画のシナリオであれば新しい登場人物が出てきたら、その瞬間か程なく名前を誰かに呼ばせてやる。
    が、この映画ではそれを敢えてしていない。
    それはスラムダンクだから原作がよく知られているから、それで良いという判断もあったかと思うが、説明的に名前を呼ぶことに対する拒否がハッキリと観て取れる気がする。
    そして、映画が始まってしばらく音楽が鳴らない!
    冒頭のムービングロゴの所にはギターが鳴ってるだけ…。
    音楽と効果音、音の使い方は、この映画に特異な印象を付けている。
    多分初めて劇伴が鳴るのは試合が始まってから(しかも大して盛り上げない)で冒頭のそれなりに長いドラマ部分は効果音だけで作られている。
    これは効果さん的には相当に腕が問われるので、なかなかプレッシャーだと思うがよく出来ている。
    効果音は全体に非常にいい仕事をしていた。
    笠松広司さんの名前がクレジットされているので、よい音響の映画館で見ると随分印象が変わるかもしれない。
    監督のインタビューをザッと読んだら音楽の付け方はお任せしたというような事を言っていたので笠松さんが音楽ラインを基本決めたのではないかと思われる。
    正確に記憶していないが音楽が使われているのは殆ど試合のシーンだったのではないか。
    普通、平場の長いシーンなどでは情感の音楽を付けたくなるものだが、あえてやらないという判断だったのだと思う。
    ドラマ部分では音楽で情感、エモーションを盛り上げる様な事は絶対やらないという抑制の効いた態度は娯楽映画としては非常に勇気のいるものだと思うし、実際に来ている客層からすると見続けるのが辛くなるギリギリのところかなと感じた。

    試合の間に回想が入る形で進んでいくというのも、話が分かりづらくなりがちなので娯楽としては非常に難しいが上手く見せられていたと思う。
    リョータの縦軸の物語が原作を知らなくても他のキャラ含めキャラクターを魅力的に見られる様にしている。
    初見の人でもキャラクターをある程度理解できるように回想を作っているのが面白いバランス。
    ドラマは非常に抑制されていて玄人好みの日本映画といった風情だが娯楽的にもしっかり目配せされている。
    それは前半はあっさりと終わっていく試合シーンの後半の見せ方で花開いていく。

    後半の試合のシーンは、えげつない位に娯楽的な盛り上げを絵も音楽も達成していてラスト近辺の音楽の使い方はとにかくあざといし、ラストのシュートが決まった後の無音の長さも普通の人なら勇気がいる様な演出だが非常に効果的だったと思う。ドラマ部分の抑制が試合部分のあざとすぎる位のあざとさを際立たせていた。

    ドラマ部分は本当に最後まで抑制が効いていて、人が何か成し遂げるには時間がかかるのだということを試合部分にも重なる様に描いていて非常に良かった。
    エンドクレジットの後の画は監督の中に染みついた娯楽精神の表れで稀有なバランス感覚の持ち主だと思う。私が偉そうに言うまでもないが………。
    見習いたいものです。

    残された人間がどう生きるかというモチーフは「すずめの戸締まり」と同じなのだが見せ方が真逆で新海誠は非常に情動に訴えかける様な見せ方をしているのが好対象。たまたまだろうけど同じ様な時期に同じ様なモチーフが重なるのは何かを象徴している気もして面白い。

    もう少し書けるけど疲れたのでこの辺で。
    とにかく非常に面白かった。
    こういうの書くときは自分のことは棚上げ……。

  • 明けまして

    明けまして

    クリスマスにやった先生は、話し出したらすぐ時間に収まり切らないのが分かってしまったので少し焦って分かりにくくなってしまったかもしれない。
    反省。
    声優の卵や、半分業界に足を踏み入れている子たちに向けて演出の仕事を説明しよう、ということだったのだが短くまとめるのは難しい。
    リアリティについてなど結構むずかしいけど重要なことに踏み込んだのだが噛み砕ききれなかったかも。

    年の瀬は色々やらなきゃいけないこと、やりたいことがあったけど疲れが出てしまったのか、あまり手がつけられずに終わった。
    ぼやぼやしていると忙しくなりそうなので、事務的なことなどは早く片付けないと…。
    本は数冊読めた。
    今年は少しづつでも積読を崩したいものだ。

    街は賑わいを取り戻した感がある。
    元日から開けている店も多かったのは数年の売り上げを取り戻そうということなのだろうか。
    明治神宮に初詣に行くと、人手はコロナ前に戻っている感があった。
    お守りやおみくじなど売る場所は拝殿から少し離れた場所に設置されていて、まだコロナへの配慮がされていたが、境内の出店もあってほぼ通常営業になっていた様に思う。
    おみくじ売り場で酒を片手にしたミュージシャン風のお兄さん達が「これ大吉とかないの?」と巫女さん姿の売り子に問うていたが、明治神宮のおみくじは和歌が書かれていて一年の指針にして下さいよ、というものなので占い風味は少ないのである。
    大晦日から働いて帰りに寄ったという風情の人や、戯れている若い男女もいて賑わっていた。
    表参道にも出店がずらりと並び、朝にはさすがに人手は少なかったものの昼くらいにはギッシリと人がいて繁盛している様だった。
    元日から開けている飲食店は、ほとんど行列ができたいた。
    千疋屋は、朝、店の前に大晦日に人が立ち入らない様にしたと思われる「立ち入り禁止」と書いた黄色いテープがべったり貼られていたが昼前には入り口前だけ剥がされて営業していた。
    ほとんどの人は店には入れないので出店で何か買って沿道で食べていた。

    今年は色々風向きが変わるのだろうが、私はどうだろうか。
    先のことは何も決まっていない。
    先のことは決まっていない、で四半世紀くらい生きてきたので怖いということも無いのだが、歳の近い人がポツリポツリと死んでいくのを見て私の残り時間はどんなもんかな、とはよく考える様になった。
    とはいえ人生の残り時間など、おみくじを引いてみても分からないのだし考え過ぎても意味はない。
    会いたい人に会う、とか小さな願いは忘れない様にしておけば実現できるだろう。
    大きな願望は、もうあまり無いし実現の見込みも薄いので、あまり捉われるつもりははない。が、まったく無いわけでも無い。
    なるべく出来ることを楽しく。

  • もののがたり

    もののがたり

    TVアニメ「もののがたり」2023年1月9日24時より、TOKYO MX/BS11/ABEMAにて放送・配信開始

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